前号のズボンに続き語源のはっきりしない呼称である。
チョッキ「直着」というのは、日本のテーラーの職人用語が一般化したもので、
米語でヴェスト(Vest)、英語でウェストコート(Waist Coat)と呼ばれる。
考え得る語源を拾ってみる。ちょっと着るからチョッキ。柄として多用されるチェックがなまったの。
羽織る物としてのヂャケットがなまった。いずれも心苦しい感じで説得力に欠ける。
シャツの上に直接着るからというのが自然のようだ。
昨今はスリーピーススーツは不人気のようだが、オッド(単品)ヴェストはよく見掛ける。
上衣を脱いでシャツ1枚というのは、ちょっと無防備な感じがするので、ニットヴェストや前開きの
ヴェストを羽織ると安心感がある。
きっちり仕立てられた三つ揃いスーツや、ダブルスーツの復権を望むのだが、80年代当時に
30~40歳代で、ソフトスーツの洗礼を受けた、服にあまり興味のない方々は、なぜかユルい服を
捨て切れないでいる。何処をどう採寸すれば、その大きくて太いスーツになるのか理解に苦しむ。
ましてや、上半身にフィットしたヴェストを加えたスリーピースなど論外といった感じなのだろう。
ルックスを度外視してまで大きすぎるスーツが楽と考えるのであれば、スーツを着なければ良い。
世界の要人やエグゼクティブは誰もそんなスーツを着ていない。小さくもなく大きくもなく正しい
サイズで立体的に作られたスーツの方が着やすく、動いた時に美しいものである。
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