作り手は何か特別なものを生み出そうとする。
買う人もその時のマインドに従い自分だけの(つもりの)一着を探す。
本物といわれる超高級なものほどベィシックだが完成度の高いものづくりをする。
その次位のクラスターのものづくりになると、流行もので一発当てよう的なマーケティングをもとに、
利潤を生む確率の高い所に集中させる。しかし流行の変わり目を予測できなかったり経済が緊縮
した時など大量の在庫となり、お洒落だった筈の物がセール品として売られる。
そして最も価格帯の安いクラスター。バレないとこには手を抜いてコストと売価を押さえ込む。
この辺のスーツになると定番っぽいといえば然りだが、なんてことない感じが溢れていて
サムシングスペシャルは感じられない。アイデンティティを消去された生活衣料だ。
話題になった千円以下のジーンズを考えてみるといい。
作り手、売り手、買い手の誰がシアワセになれるのだろうか。
少しぐらい高くても、絶対にこれが欲しいと大枚はたいて購入した経験は誰にでもある。
今となっては何であの時買ってしまったのか悔恨の念が残るだけ。そんな後悔をしない為に、
サムシングスペシャルをどのように見出すか。
まず奇抜な色柄を選ばない。渋めなくらいがちょうど良い。それより大切なのはフォルムだ。
技術が裏付けした流麗なフォルムならば紺やグレーの無地で充分だ。
シャツは白かブルー、あるいはシンプルな柄物。これ以外何もいらない。
メンズ誌の海外スナップに登場するファッショニスタ達のスーツのコーディネイトは以外に簡単だ。
デザインや色柄が変わったものを個性とは評価しないようだ。
彼らのサムシングスペシャルは、素材の良さ、身体に合わせた完璧なフォルム、
雑味のない色合わせである。
2016年6月22日水曜日
VOL・109 いい物は高い 消えたアッパーミドル 2010・01
昨今の景気後退、マネーゲーム的なところに端を発したためだろうか、
世の中で売られている物が金銭獲得の手段にしか見えない気がするのは私だけか。
買う側も投資的判断に偏重しているような気がする。高価な物だけでなくスーパーの食品購入
にさえ投資というより投機的発想が頭をよぎってはいないだろうか。必要な物を買い求め、そして
売る側は幾許かの利潤を得るのは当たり前のことだ。
しかし、何が売れるかというマーケティングが独り歩きして、いい物づくりをするという
マーチャンダイジングが萎縮している。某社が史上最高の売上を達成などとマスコミの報道も
マネーゲームの勝者を称える。高速道のサービスエリアを見渡してみても、ミニバンだらけ、
色も概して白か黒、日本の自動車趣味、物づくりはどうなってしまうのだろうか。
さて、スーツのはなし。数十万(十数万)のスーツと数万円のスーツ。
まさかたいした差はないと考えている人はいないと思うが、その違いは充分に説明され、
理解されているのだろうか。不況のため、売れなかった生地がバッタもんとなって売られると、
安価ブランド曰く、こんなにいい生地を使ってこの価格です。そりゃそうでしょう。工賃つまり
技術つまりマンパワーが不在、格好良さや着心地は絶対に同じではないのである。
再確認!いい物は高い。
当然のことだ。但し、高くても良くない物も多いから、この機会に淘汰されないものだろうか。
何事にも上昇志向で未来に夢を持ち、趣味の良さを発揮していたアッパーミドル、
中の上が消えてしまった。会社の組織の中で課長職は無くなったりはしないから、
どこかに隠れているのだろうか。
不景気は夢や趣味の良さまでも封印してしまうのか。
世の中で売られている物が金銭獲得の手段にしか見えない気がするのは私だけか。
買う側も投資的判断に偏重しているような気がする。高価な物だけでなくスーパーの食品購入
にさえ投資というより投機的発想が頭をよぎってはいないだろうか。必要な物を買い求め、そして
売る側は幾許かの利潤を得るのは当たり前のことだ。
しかし、何が売れるかというマーケティングが独り歩きして、いい物づくりをするという
マーチャンダイジングが萎縮している。某社が史上最高の売上を達成などとマスコミの報道も
マネーゲームの勝者を称える。高速道のサービスエリアを見渡してみても、ミニバンだらけ、
色も概して白か黒、日本の自動車趣味、物づくりはどうなってしまうのだろうか。
さて、スーツのはなし。数十万(十数万)のスーツと数万円のスーツ。
まさかたいした差はないと考えている人はいないと思うが、その違いは充分に説明され、
理解されているのだろうか。不況のため、売れなかった生地がバッタもんとなって売られると、
安価ブランド曰く、こんなにいい生地を使ってこの価格です。そりゃそうでしょう。工賃つまり
技術つまりマンパワーが不在、格好良さや着心地は絶対に同じではないのである。
再確認!いい物は高い。
当然のことだ。但し、高くても良くない物も多いから、この機会に淘汰されないものだろうか。
何事にも上昇志向で未来に夢を持ち、趣味の良さを発揮していたアッパーミドル、
中の上が消えてしまった。会社の組織の中で課長職は無くなったりはしないから、
どこかに隠れているのだろうか。
不景気は夢や趣味の良さまでも封印してしまうのか。
VOL・108 お洒落じゃない人のお洒落 2009・12
これが煮ても焼いても喰えない。
「どうしたらお洒落になれるか」という質問を頂くが、これに返答するのは非常に難しい。
洋服屋で働いているからお洒落だとは限らないし、スーツ族と今どきのストリートカジュアルや、
ギャル男君たちの着こなしにおいて、格好良さを共有することも希である。
単刀直入にお洒落じゃない人の欠点を羅列してみる。
・服に興味がない人を探す方が難しいが「着飾る」ことをお洒落だと勘違いしている。
お洒落な人は「着こなす」習慣ができている。釦やステッチの色にギミックを用いた
上衣やシャツが出回りすぎ。造り手にも売り手にも問題あり。「変わったシャツですね」
と言われたら要注意。「変なの!」を婉曲に言ってるだけ。
・自分の体型を理解していない。つまりサイズ感覚に欠けている。服が大きすぎては
より太って見えてしまうし、いくら細身が流行っても小さすぎては貧相で豊かさに欠ける。
既製服といえども、仕上げるときの袖丈、股下、着丈に無頓着。サイズ感覚は流行と
いうより時代のバランス感覚である。
・トータルの着こなし、コーディネイトが出来ていない。豪華一点を買い求めて着ていれば
お洒落だと思っている。一緒にパンツを買いなさい。シャツもベルトも靴もお求めいただいた
方が良かった。ちょっとハズシのコーディネイトのつもり? 残念ながらハズレです。
何にでも合う服、何に合わせても中途半端かも。
・オーダースーツだから格好いい?オーダーもピンキリです。どこの寸法に合わせて
作ったのか理解に苦しむ。注文を受け採寸する担当者がダサかったら、そりゃ無理な
相談というもの。
人それぞれ趣味嗜好はある。知らなかった物、もっと良い物を見て変わろうとする事こそ
本当の趣味の良さではないか。
「どうしたらお洒落になれるか」という質問を頂くが、これに返答するのは非常に難しい。
洋服屋で働いているからお洒落だとは限らないし、スーツ族と今どきのストリートカジュアルや、
ギャル男君たちの着こなしにおいて、格好良さを共有することも希である。
単刀直入にお洒落じゃない人の欠点を羅列してみる。
・服に興味がない人を探す方が難しいが「着飾る」ことをお洒落だと勘違いしている。
お洒落な人は「着こなす」習慣ができている。釦やステッチの色にギミックを用いた
上衣やシャツが出回りすぎ。造り手にも売り手にも問題あり。「変わったシャツですね」
と言われたら要注意。「変なの!」を婉曲に言ってるだけ。
・自分の体型を理解していない。つまりサイズ感覚に欠けている。服が大きすぎては
より太って見えてしまうし、いくら細身が流行っても小さすぎては貧相で豊かさに欠ける。
既製服といえども、仕上げるときの袖丈、股下、着丈に無頓着。サイズ感覚は流行と
いうより時代のバランス感覚である。
・トータルの着こなし、コーディネイトが出来ていない。豪華一点を買い求めて着ていれば
お洒落だと思っている。一緒にパンツを買いなさい。シャツもベルトも靴もお求めいただいた
方が良かった。ちょっとハズシのコーディネイトのつもり? 残念ながらハズレです。
何にでも合う服、何に合わせても中途半端かも。
・オーダースーツだから格好いい?オーダーもピンキリです。どこの寸法に合わせて
作ったのか理解に苦しむ。注文を受け採寸する担当者がダサかったら、そりゃ無理な
相談というもの。
人それぞれ趣味嗜好はある。知らなかった物、もっと良い物を見て変わろうとする事こそ
本当の趣味の良さではないか。
VOL・107 いつも同じ服 2009・11
いつも同じ服に見えると人は言う。
しかし、スーツやジャケットの数は人並み以上で、一週間毎日違うものを着てもまだ余りある。
ホントに同じ服を毎日着ている人はここでは論外。
「あの人はいつも同じ服ばかり着ている」と言う時、実際のところどうなんだろうか。
言われる側の対象になっている人物は、普通の人に比べてきっとセンスがあり、
いい服を着ているに違いない。
毎日全て違う物を着ているのだが、本人が持つイメージ(特に色と柄)がテーマとして
フィックスされていて、他の人からは同じに見えているのだろう。
私も同じような服ばかり作っている。自分のことはさておき、いつも同じように見えているのは
決して悪いことだとは思わない。むしろ潔ささえ感じてしまう。
私の顧客にかなりの着数のジャケットとパンツを作って頂いている方がいる。
ジャケットだけで30着くらいはあろうか。これが、ことごとく茶系。ベージュもあればこげ茶もある。
合わせて作るパンツもほとんど茶系で、グレーや紺が少し。確かに似た様な色である。
さらに、シーズンが変わっても素材が変化しているだけで、色使いの印象は変わらない。
傍目には同じに見えているだろうが、私は微妙な色の差を楽しんでもらえていると思っている。
淡いベージュ系のジャケットに、たまにはライトグレーのパンツを合わせると爽やかな
淡色コーディネイトになると提案しているのだが、当の本人がピンときていないみたいだ。
色々な服を買い漁る人ほどまとまりがつかない。
色も柄も、ひいてはサイズ(表示ではなく実際の大きさ)までバラバラだ。
安定したサイズ感覚を持っていて、それに好みの色柄が乗っていくと同じような服に
見えるのは否めない。
自分の得意なパターンが確立されているのは素晴らしいことだと思いますが、如何?
しかし、スーツやジャケットの数は人並み以上で、一週間毎日違うものを着てもまだ余りある。
ホントに同じ服を毎日着ている人はここでは論外。
「あの人はいつも同じ服ばかり着ている」と言う時、実際のところどうなんだろうか。
言われる側の対象になっている人物は、普通の人に比べてきっとセンスがあり、
いい服を着ているに違いない。
毎日全て違う物を着ているのだが、本人が持つイメージ(特に色と柄)がテーマとして
フィックスされていて、他の人からは同じに見えているのだろう。
私も同じような服ばかり作っている。自分のことはさておき、いつも同じように見えているのは
決して悪いことだとは思わない。むしろ潔ささえ感じてしまう。
私の顧客にかなりの着数のジャケットとパンツを作って頂いている方がいる。
ジャケットだけで30着くらいはあろうか。これが、ことごとく茶系。ベージュもあればこげ茶もある。
合わせて作るパンツもほとんど茶系で、グレーや紺が少し。確かに似た様な色である。
さらに、シーズンが変わっても素材が変化しているだけで、色使いの印象は変わらない。
傍目には同じに見えているだろうが、私は微妙な色の差を楽しんでもらえていると思っている。
淡いベージュ系のジャケットに、たまにはライトグレーのパンツを合わせると爽やかな
淡色コーディネイトになると提案しているのだが、当の本人がピンときていないみたいだ。
色々な服を買い漁る人ほどまとまりがつかない。
色も柄も、ひいてはサイズ(表示ではなく実際の大きさ)までバラバラだ。
安定したサイズ感覚を持っていて、それに好みの色柄が乗っていくと同じような服に
見えるのは否めない。
自分の得意なパターンが確立されているのは素晴らしいことだと思いますが、如何?
2016年6月20日月曜日
VOL・106 ドレスダウン?カジュアルアップ? 2009・10
服の着こなし、アイテムの合わせ方や色の使い方を語るとき、
傾向(トレンド)はイメージとしてのあり様なので具体性に乏しい。
仮にジャケットにカラーパンツやジーンズを合わせて・・・
と述べたところで、ウチの会社はスーツしか駄目だし、もしジャケットOKでもジーンズなんて
もってのほかとなるのが落ち。ファッション雑誌がよく特集するイタリアの男たち、
殆どがアパレルの展示会でのスナップ写真である。
一般のビジネスマンたちの着こなしは、日本同様にもっとコンサバティヴだ。
ただし、洗練されたエレガンテ度合いは足元にも及ばない。
この夏を検証した上で秋へ向けてのご提案。
着る物をまっ二つに分けるのはいささか乱暴な気もするが、その方が理解に遠くない。
ドレスとカジュアルその二つが上品に融合しようとしている。
軽く作られたジャケットにカラーパンツの合わせがそれである。
カジュアルは上品方向へなびいているし、ドレスは軽快さを求めている。
上衣は芯地やパット等が少なめの構造になりシルエットもコンパクトな設計が可能になった。
同じ着心地ながら細身に仕立てることができる。
サイズ感覚がとても大切になっている。昔のゆったりしたジャケットを引っ張り出してジーンズに
合わせても成功は望めない。
色使いの傾向。パープルと新顔のグリーン。この二色は指し色として効果的。
分量的には上衣やボトムに用いる色こそ大きな面積を占める。定番色のネイビーや
ダークブラウンに加えてベージュやライトグレーの中間色を基調にするのが見逃せない。
淡いベージュのジャケットに白やライトグレーのボトム。さらにイエローやグリーンなどの中間色の
ボトムもいい。安易な全身黒ずくめでは、ポイントは稼げないので悪しからず。
傾向(トレンド)はイメージとしてのあり様なので具体性に乏しい。
仮にジャケットにカラーパンツやジーンズを合わせて・・・
と述べたところで、ウチの会社はスーツしか駄目だし、もしジャケットOKでもジーンズなんて
もってのほかとなるのが落ち。ファッション雑誌がよく特集するイタリアの男たち、
殆どがアパレルの展示会でのスナップ写真である。
一般のビジネスマンたちの着こなしは、日本同様にもっとコンサバティヴだ。
ただし、洗練されたエレガンテ度合いは足元にも及ばない。
この夏を検証した上で秋へ向けてのご提案。
着る物をまっ二つに分けるのはいささか乱暴な気もするが、その方が理解に遠くない。
ドレスとカジュアルその二つが上品に融合しようとしている。
軽く作られたジャケットにカラーパンツの合わせがそれである。
カジュアルは上品方向へなびいているし、ドレスは軽快さを求めている。
上衣は芯地やパット等が少なめの構造になりシルエットもコンパクトな設計が可能になった。
同じ着心地ながら細身に仕立てることができる。
サイズ感覚がとても大切になっている。昔のゆったりしたジャケットを引っ張り出してジーンズに
合わせても成功は望めない。
色使いの傾向。パープルと新顔のグリーン。この二色は指し色として効果的。
分量的には上衣やボトムに用いる色こそ大きな面積を占める。定番色のネイビーや
ダークブラウンに加えてベージュやライトグレーの中間色を基調にするのが見逃せない。
淡いベージュのジャケットに白やライトグレーのボトム。さらにイエローやグリーンなどの中間色の
ボトムもいい。安易な全身黒ずくめでは、ポイントは稼げないので悪しからず。
VOL・105 残暑のスーツ素材 2009・9
9月までクールビズを採用する企業が多い中、アンチクールビズ派の営業マンの方々も多い。
よくよく考えてみれば、半袖ノーネクタイOKもクールビズだが、スーツを涼しげに着る事も
立派なクールビズと言えるのではないだろうか。
そこで残暑向きのスーツ素材。
ウール素材の生地の場合、湿気を帯びたまま膝や肘を曲げていると形状を記憶しようと
するのでシワになりやすい。通気性が良く、汗をかいても乾きやすい素材がスーツの
クールビズにふさわしい。
強撚糸を用いた平織りのポーラなどがそれである。
糸に強く撚りをかけて織られるのでコシがあり、ギュッと握って離すとバネの様に元に
戻ろうとする。風抜けが良く、いち早く秋風を感じるかも。ポーラは英国生地に多くエリソン社の
商標である。その他にフレスコは老舗マーティンソンズ社、エアウールはエドウィン・ウッドハウス社
の商標である。ポーラを中心としたスーツ素材にはモヘアをブレンドして、さらに張り感を持たせた
もの、リネン麻をブレンドしたものなどがある。
定番素材といえば、細番の糸で平織りしたトロピカルと呼ばれる生地。
夏のスーツ地のほとんどがこのトロピカルである。20年程前にはクールウールとしてキャンペーン
されていた。当時はウールというとウォーム感を連想するのでサマーウールとかクールウールと銘
打ったのか。
見た目が涼しげな綿と麻。少し、くたった綿スーツは味があるものである。
傍目には涼しげでも意外に湿気がこもり涼感に欠ける。男のやせ我慢のひとつとして
綿スーツの人に拍手!!
麻のデメリットはシワである。ヨーロッパではシワもファッションの一部として人気だが、
日本人の感性には難しいかもしれない。
ウールにブレンドした混紡素材の方がおススメである。
よくよく考えてみれば、半袖ノーネクタイOKもクールビズだが、スーツを涼しげに着る事も
立派なクールビズと言えるのではないだろうか。
そこで残暑向きのスーツ素材。
ウール素材の生地の場合、湿気を帯びたまま膝や肘を曲げていると形状を記憶しようと
するのでシワになりやすい。通気性が良く、汗をかいても乾きやすい素材がスーツの
クールビズにふさわしい。
強撚糸を用いた平織りのポーラなどがそれである。
糸に強く撚りをかけて織られるのでコシがあり、ギュッと握って離すとバネの様に元に
戻ろうとする。風抜けが良く、いち早く秋風を感じるかも。ポーラは英国生地に多くエリソン社の
商標である。その他にフレスコは老舗マーティンソンズ社、エアウールはエドウィン・ウッドハウス社
の商標である。ポーラを中心としたスーツ素材にはモヘアをブレンドして、さらに張り感を持たせた
もの、リネン麻をブレンドしたものなどがある。
定番素材といえば、細番の糸で平織りしたトロピカルと呼ばれる生地。
夏のスーツ地のほとんどがこのトロピカルである。20年程前にはクールウールとしてキャンペーン
されていた。当時はウールというとウォーム感を連想するのでサマーウールとかクールウールと銘
打ったのか。
見た目が涼しげな綿と麻。少し、くたった綿スーツは味があるものである。
傍目には涼しげでも意外に湿気がこもり涼感に欠ける。男のやせ我慢のひとつとして
綿スーツの人に拍手!!
麻のデメリットはシワである。ヨーロッパではシワもファッションの一部として人気だが、
日本人の感性には難しいかもしれない。
ウールにブレンドした混紡素材の方がおススメである。
VOL・104 スーツのはなし ノベライズ<後編> 2009・08
予約していたイタリアンレストランに着く頃には、二人を夕闇が包んでいた。
それは街の中心から少しはずれたところにあった。
飲食店が立ち並ぶ喧騒が途切れて住宅街に変わるあたりだ。
どちらかというとイタリアの北の方の正調なリストランテをイメージしたことがはっきりと窺える。
実に品の良い料理を出してくれる。店の設えは簡素でもなく豪華すぎもせず、
居心地がとてもよかった。
「オーナー、お久しぶり。ちょっと遅くなりました。」
「二人とも相変わらずお洒落だね。大人のカジュアルって感じだけど。
今日の服、打ち合わせでもしたのかな。」
「いや、偶然ですよ。」
の自分の返事を掻き消すように、
「ええ、ありがとうございます。」
と、彼女の声が明るく響いた。
知人に紹介されてこの店に通い始めて4年になるだろうか。
ほとんどは厨房仕事が多いオーナーシェフだが、ホールに出るときはいいスーツを着ている。
尋ねてみると、自分と同じショップの常連だったことから意気投合した。
今日はホールに立つ日のようだ。良くできた黒いスーツだった。
黒にありがちな他に対して攻撃的な感じは微塵もなかった。
「今もあそこでスーツ作ってんの。」
「当然でしょ。今はスーツだけでなく全部ですよ。先週行った時、
オーナーの新しいジャケット見せてもらいましたよ。」
イタリアで修行した経験を持つオーナーと交わす会話はとても楽しかった。
点としてしかイメージできなかったイタリアの各都市が話を重ねるうちに二次元的に
つながっていく。
「この暑い夏が終われば、秋のイタリアは食材の宝庫。
フンギポルチーニが手に入るからリゾットでも作るかな。」
「本当ですか。それは楽しみですね。必ず連絡くださいよ。」
<完>
それは街の中心から少しはずれたところにあった。
飲食店が立ち並ぶ喧騒が途切れて住宅街に変わるあたりだ。
どちらかというとイタリアの北の方の正調なリストランテをイメージしたことがはっきりと窺える。
実に品の良い料理を出してくれる。店の設えは簡素でもなく豪華すぎもせず、
居心地がとてもよかった。
「オーナー、お久しぶり。ちょっと遅くなりました。」
「二人とも相変わらずお洒落だね。大人のカジュアルって感じだけど。
今日の服、打ち合わせでもしたのかな。」
「いや、偶然ですよ。」
の自分の返事を掻き消すように、
「ええ、ありがとうございます。」
と、彼女の声が明るく響いた。
知人に紹介されてこの店に通い始めて4年になるだろうか。
ほとんどは厨房仕事が多いオーナーシェフだが、ホールに出るときはいいスーツを着ている。
尋ねてみると、自分と同じショップの常連だったことから意気投合した。
今日はホールに立つ日のようだ。良くできた黒いスーツだった。
黒にありがちな他に対して攻撃的な感じは微塵もなかった。
「今もあそこでスーツ作ってんの。」
「当然でしょ。今はスーツだけでなく全部ですよ。先週行った時、
オーナーの新しいジャケット見せてもらいましたよ。」
イタリアで修行した経験を持つオーナーと交わす会話はとても楽しかった。
点としてしかイメージできなかったイタリアの各都市が話を重ねるうちに二次元的に
つながっていく。
「この暑い夏が終われば、秋のイタリアは食材の宝庫。
フンギポルチーニが手に入るからリゾットでも作るかな。」
「本当ですか。それは楽しみですね。必ず連絡くださいよ。」
<完>
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